丹比真人笠麻呂下筑紫國時作歌一首[并短歌] (Manyoshu 509)

臣女乃
匣尓乗有
鏡成
見津乃濱邊尓
狭丹頬相
紐解不離
吾妹兒尓
戀乍居者
明晩乃
旦霧隠
鳴多頭乃
哭耳之所哭
吾戀流
干重乃一隔母
名草漏
情毛有哉跡
家當
吾立見者
青旗乃
葛木山尓
多奈引流
白雲隠
天佐我留
夷乃國邊尓
直向
淡路乎過
粟嶋乎
背尓見管
朝名寸二
水手之音喚
暮名寸二
梶之聲為乍
浪上乎
五十行左具久美
磐間乎
射徃廻
稲日都麻
浦箕乎過而
鳥自物
魚津左比去者
家乃嶋
荒礒之宇倍尓
打靡
四時二生有
莫告我
奈騰可聞妹尓
不告来二計謀

Modern Japanese

臣の女の
櫛笥に乗れる
鏡なす
御津の浜辺に
さ丹つらふ
紐解き放けず
我妹子に
恋ひつつ居れば
明け暮れの
朝霧隠り
鳴く鶴の
音のみし泣かゆ
我が恋ふる
千重の一重も
慰もる
心もありやと
家のあたり
我が立ち見れば
青旗の
葛城山に
たなびける
白雲隠る
天さがる
鄙の国辺に
直向ふ
淡路を過ぎ
粟島を
そがひに見つつ
朝なぎに
水手の声呼び
夕なぎに
楫の音しつつ
波の上を
い行きさぐくみ
岩の間を
い行き廻り
稲日都麻
浦廻を過ぎて
鳥じもの
なづさひ行けば
家の島
荒磯の上に
うち靡き
繁に生ひたる
なのりそが
などかも妹に
告らず来にけむ

Hiragana Pronounciation

おみのめの
くしげにのれる
かがみなす
みつのはまべに
さにつらふ
ひもときさけず
わぎもこに
こひつつをれば
あけくれの
あさぎりごもり
なくたづの
ねのみしなかゆ
あがこふる
ちへのひとへも
なぐさもる
こころもありやと
いへのあたり
わがたちみれば
あをはたの
かづらきやまに
たなびける
しらくもがくる
あまさがる
ひなのくにべに
ただむかふ
あはぢをすぎ
あはしまを
そがひにみつつ
あさなぎに
かこのこゑよび
ゆふなぎに
かぢのおとしつつ
なみのうへを
いゆきさぐくみ
いはのまを
いゆきもとほり
いなびつま
うらみをすぎて
とりじもの
なづさひゆけば
いへのしま
ありそのうへに
うちなびき
しじにおひたる
なのりそが
などかもいもに
のらずきにけむ

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