古挽歌一首[并短歌] (Manyoshu 3625)

由布左礼婆
安之敝尓佐和伎
安氣久礼婆
於伎尓奈都佐布
可母須良母
都麻等多具比弖
和我尾尓波
之毛奈布里曽等
之<路>多倍乃 波祢左之可倍弖
宇知波良比
左宿等布毛能乎
由久美都能 可敝良奴其等久
布久可是能
美延奴我其登久
安刀毛奈吉 与能比登尓之弖
和可礼尓之
伊毛我伎世弖思
奈礼其呂母 蘇弖加多思吉弖
比登里可母祢牟

Modern Japanese

夕されば
葦辺に騒き
明け来れば
沖になづさふ
鴨すらも
妻とたぐひて
我が尾には
霜な降りそと
白栲の 羽さし交へて
うち掃ひ
さ寝とふものを
行く水の 帰らぬごとく
吹く風の
見えぬがごとく
跡もなき 世の人にして
別れにし
妹が着せてし
なれ衣 袖片敷きて
ひとりかも寝む

Hiragana Pronounciation

ゆふされば
あしへにさわき
あけくれば
おきになづさふ
かもすらも
つまとたぐひて
わがをには
しもなふりそと
しろたへの
はねさしかへて
うちはらひ
さぬとふものを
ゆくみづの
かへらぬごとく
ふくかぜの
みえぬがごとく
あともなき
よのひとにして
わかれにし
いもがきせてし
なれごろも
そでかたしきて
ひとりかもねむ

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